JP Circularity in the Built Environment 2025
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使用されている資材が循環型建築資材とバージン
原料のいずれであっても、改修事業では必ず古い
資材の解体、交換を行う 。しかし 、改修事業を循
環型で進める場合、資源の有効活用と効率性改善
のポテンシャルは突出して高い。循環型改修事業
では、現場での資材再利用という ダイ レク トなやり
方で循環させるか、 アフターマーケッ ト(中古市場)
を介して、 資材を再循環させるこ とができる。 以下に、
この 2 つのプロセスの主な相違点を示す。
–建築資材の選定:循環型改修事業で最も重
要なのは、建築資材の保持、リサイ クル材
や再利用材の調達である。 これはともする と、
既存建築資材の再認証をはじめとするよ り複
雑な調達プロセスや、厳しい「グリーン」要
件による制約を受ける。
–解体 vs. 取 り 壊 し: 循環型改修事業では、再
利用可能な部材を回収するために、時間の
かかる解体作業を丁寧かつ徹底的に行う 。
一方、従来型の改修事業では通常、解体の
スピー ドが最優先され、さ らに多く の廃棄物
が発生する可能性がある。
–現場での再利用:循環型改修事業では、建築
資材をその場で保持、あるいは再利用するこ と
が優先される。具体的には、現場の外装の補
修や再設置21、または既存構造物の再利用 ²²
などがあ り 、これには新たな技能、技術力や
人手が必要になる。また、建築資材が目的に
適しているかを確認するために再認証が求め
られる場合もある。同時に、解体廃材の現場
からの運搬や新築用資材の搬入に伴う物流負
担を減らすこ とができるが、都市部の人口密
集エリ アでは、現場での保管、補修、リサイ ク
ルのためのスペース確保が課題になるこ とが
多い。
–設計上の配慮:循環型改修事業では、建築
資材のライフサイ クルやモジ ュール化、将来
的な利用性を考慮した設計が求められる。目先の機能性やコス トを最重視するのが当た り
前である従来型設計とは、この点が異なる。
–デジタル 技 術: 循環型改修事業では、 「デジ
タル建築資材パスポー ト」やリ アル世界で
収集したデータをバーチャル空間で再現する
「デジタルツイン」といったツールを駆使し、
二次資材や建築資材のライフサイ クル全般
についての透明性を確保する。空間マッピ
ング技術によ り実現される建築ス ト ッ ク資産
の 3D モデルは、循環型改修事業で効果的
に活用できる。 プロジ ェ ク トの早期において、
形状や資材に関する重要な情報を設計者が
得ることができるからだ。
改修には必要性と多く のメ リ ッ トがある一方で、 ネッ
トゼロ目標達成までのロー ドマッ プは平坦ではな
い。2023 年から 2050 年までに約 400 億トンとい
うおびただしい量の建築資材が必要である という課
題が存在する。
2050 年における体積(立方メー トル)ベースでの
需要は、グラスファイバー、ミネラルウール、断熱
フ ォームボー ド、発泡板、スプレーフ ォーム、木材、
セルロースといった建築資材に集中するだろ う 。一
方、重量( トン)ベースでは、ガラス、鋼材、コン
クリート、アルミニウム、レンガ、プラスチックが圧
倒的な割合を占め、 と り わけ窓、 被覆材、 屋根といっ
た、機能をア ッ プグレー ドするための改修で重要な
役割を果たす(図 3) 。今後は、イノベーシ ョ ンや
建築界の動きによ って 、こ う した建築資材がよ り環
境負荷の少ない新素材に置き換わる可能性がある。
改修事業に必要な建築資材の 90% 以上は、断熱、
屋根、 窓のア ッ プグレー ドといった建物エンベロープ
(外面)の改善に充てられる 。残りの部分は、空
調システムのよ うな省エネ設備のア ッ プグレー ドに
使用される。つまり、こ う したシステムアップグレー
ドに必要な建築資材の環境負荷は驚く ほど少なく 、
しかも工事中の二酸化炭素排出量削減に多大に
貢献する。
建造環境におけるサーキュラリティ : 改修事業の新たな可能性を切り拓く
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