JP Circularity in the Built Environment 2025
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改修事業に特化 したサーキ ュ ラ リ テ ィ 設計
循環型改修事業に特化 したテ ク ノ ロジーBOX 6
BOX 7改修設計で意思決定の判断材料となるのは、ライ
フサイ クル全体の評価である。この評価では、改
修事業による二酸化炭素排出量の算出だけでなく 、
建設初期段階で発生する内包二酸化炭素量や工事中に発生する排出量を合わせたライフサイ クル全
体での試算が必要である。こ う したホリ ステ ィ ッ ク
(全体論的)な視点があってこそ、よ り多く の情報
を踏まえた持続可能な設計が可能となるだろ う。
3D スキャ ン技術は、建築ス ト ッ クを点群データに
変換し、デジタルツインを作成して「建築 IT」シ
ステムとの連携およびデータの活用を可能にする。
このテク ノロジーによ り 、建築ス ト ッ クの設計情報がよ り明確になるため、設計者による計画の策定
と、回収業者と連携した効果的な循環型改修事業
の実施に大き く 役立つ。建築資材がもたらす環境負荷の測定と追跡は、循
環型取り組みの拡大に不可欠である。現在、科学
に基づく 目標設定イニシアチブ(SBTi)のよ うな取
り組みによ って、スコープ 1 と 2 の二酸化炭素排出
量を効果的に測定する枠組みが提供されている。 し
かし、建築活動が環境に与え る影響、例えばバージ
ン原料の消費、水や土地の使用、汚染、生物多様
性へのインパク トなどについてのモニタ リ ングには
改善の余地がある。
デジタル・マテリ アル・パスポー ト(デジタル建築
資材パスポー ト)の導入によ り 、設計者、メーカー
やア ッ プグレー ド業者は、使用建築資材の環境負荷
について透明性を確保するこ とができる。こ う したパ
スポー トがあれば、その建物に使用された建築資材
や部材の詳しい記録が作れ、建築資材の残存価値
を高めるこ とができる。これによ り 、物流業者や廃棄物処理業者にも新たなビジネス機会を創出するこ と
ができる。
世界各地でこれまでどの建築資材パスポー トがどの
程度導入され、どのようなアプローチが取られてい
るかについては、十分な記録がない。 「建物および
建築のグローバル・アライアンス(Global ABC) 」
が導入しているデジタル建設資材パスポー トは、グ
ローバルな活用を想定したオープンソースのツール
である38。また、各国独自の枠組みも次々に登場。
ドイツでは、ドイツ持続可能建築協会(DGNB)が
デジタル建築資源パスポー トを導入し、透明性の向
上を目指している。このパスポー トには、循環型建
築資材の使用状況、ライフサイ クルにおける温室効
果ガス排出、非再生可能エネルギー需要、解体の
しやすさ といった情報が記録されている39。
良質な改修資材の再生・再利用を確保する効率的
な物流ネッ トワーク と改修プログラムは、循環型バ
リ ューチ ェーンの屋台骨となる。メーカー各社は資
材改修の仕組みを整備し、他の建築資材メーカー
や部材メーカーと協力して解体現場から回収された
建築資材を再循環させ、価値ある建築資材を抽出
すればよい。例えば、アルミニウムメーカーとガラ
スメーカーが協力して 、建物のフ ァサー ドから回収
した建築資材を再循環させる仕組みを作る といった
取り組みが考えられる。
流通業者や物流業者は、メーカーや廃棄物処理業
者と ともに、 分解 ・ 保管 ・ リサイ クル拠点のネッ トワー
クを構築するこ とができる。それが、人口密集地や
建設現場の近く に作れれば理想的である。例えば
オランダ政府は、2050 年までに循環型構築環境
の整備が順調に進むよ う 、アーバン・マイニング・ ハブの利用を検討40。廃材と再利用可能な部材の
デジタル・プラ ッ ト フ ォームは、これらの建築資材
の特定、追跡、管理を合理化しながら、交換や販
売を行うマーケッ トプレイスとしても機能する。
廃材の輸送は、建設業以外の企業にも、新たな収
益源を生み出す機会となる。例えば、スイスの国営
企業である郵便事業会社スイスポス トは、建設現場
での物流サービスを提供し、この市場にスムーズに
参入した。同社はこのセク ターに新たなプレーヤー
が参入、成功する可能性を実証している41 。このよ
うな業者は、リサイ クルによ り利用が可能となる廃
材を供給元であるメーカーに販売する、 「リバース・
ロジステ ィ ク ス」 (逆物流)の可能性も探求するこ と
ができる。3.2 技 術 、設 備 、ツ ー ル
3.3 再 利 用 、リ サ イ ク ル 基 盤
建造環境におけるサーキュラリティ : 改修事業の新たな可能性を切り拓く
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