JP Circularity in the Built Environment 2025

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循環型改修事業に特化 した再利用、 リ サイ ク ル基盤 循環型改修事業に特化 した技能と専門職BOX 8 BOX 9循環型改修事業のステッ プには、(1) 建物から建 築資材を取り出す 、(2) その資材を分別する、(3) 再生、 リサイ クル、保管のための施設に移送する、 または現場で再利用する、の 3 つがある。現場で の分別が可能である場合は、サーキュ ラ リテ ィ から新たな雇用が生まれ、社会的なメ リ ッ トももた らされる。例えば、非熟練作業員でも、改修事業 から出る廃材を取り外して分別する仕事に従事で きる可能性があるのだ。 循環型改修事業を専門とする設計者、ア ッ プグレー ド業者、リ ノベーシ ョ ン業者に求められるのは、建 築ス ト ッ クの再利用ポテンシャルを評価するスキル 開発や、解体作業よ り も丁寧な分解作業を優先さ せる姿勢だ。こ う した専門家たちは、建築資材や 部材のリサイ クルをできるだけ現場で行う こ とで、 物流コス トを抑え、サプライチ ェーンの中断による 混乱にも柔軟に対応できるよ うになる。 さ らに、 ア ップグレー ド業者やリ ノベーシ ョ ン業者は本来の業務 に加え 、改修事業中に建築資材を回収・再生して 販売すれば、サーキュ ラ リテ ィ からも利益を得るこ とができる。このよ うに、回収によ り再生された建 築資材は、用途を転換するこ とで他の現場向けに 販売するこ とが可能であ り 、追加的な収益源を生み 出す手段となる。同時に、廃棄物の削減および資 源利用効率の向上も図るこ とができる。必要な技能と専門知識を持った労働力の確保は、 サーキュラ リテ ィ を支え る要となる。特に設計者、 アッ プグレー ド業者、廃棄物処理業者、メーカーがこれ に該当する。メーカーは循環型建築資材と部材の処 理についての体制を整えれば、十分な供給を確保す るこ とができる。これは、リサイ クル資材を大量に使 用した「グリーン部材」の開発や、使用済み部材を 再製造する専用ラインの設置などによ って実現できる だろ う。中には、 循環型かつ気候変動に配慮したネッ トゼロ製品に、15 ~ 30%の上乗せ価格を確保した 企業もある42。 メーカーもまた、 「製品を販売して終わり」ではな いサービス型モデルを採用し 、自社の主力事業を 多角化するこ とも可能である 。これには、 「マテリ アル・アズ・ア・ サ ービス(MaaS:Material-as-a- Service) 」や「エナジー ・ アズ ・ ア ・ サービス(EaaS : Energy-as-a-Service) 」といったモデルが存在する。 こ う したモデルでは、建設会社や不動産オーナーが 建築資材や設備を購入するのではなく 、リースする ために、使用後の回収やリサイ クルを徹底し、環境負荷を軽減するこ とができる。 また、長期的な製品の利用につながるサービス型モ デルによ って、 安定した収益源が得られるのみでなく 、 顧客との長期的な関係性の構築が可能となる。 さ らに、メーカー各社は、 「廃材」を他業種の原材 料と して活用するこ とで水平統合を進め、新たな収 益源を生み出せるよ うになる。同時に、垂直統合に よって自社でリバース・ロジスティ クスや回収のメカ ニズムを構築するこ とで、 他社向けにリサイ クル ・ サー ビスが提供でき、収益拡大が期待される。 も う一つの戦略的オプシ ョ ンは、再生可能な建築資 材の需要と供給を結ぶデジタル・マーケッ ト・プレイ ス (取引市場) を立ち上げるこ とである。 このデジタル ・ マーケッ ト ・ プレイスは、 回収された建築資材の分解、 輸送、再生に必要な労働者と雇用側をマッチングす るこ ともできるため、労働者の生産性を最大限に引 き出し、新たな雇用を創出するこ とができる。 サーキュ ラ リテ ィ に注目 した不動産投資家は、様々 な投資戦略や投資規模に応じていく つかの資金調 達手段を用意している。その対象は、単体の循環 型建築プロジ ェ ク トから、大規模な循環型エコシス テムに至るまで、幅広い。資金調達手段には、優 遇融資、環境問題の解決に資する自治体や企業が 発行する債券グリーンボン ドや、収益分配型のメ カニズムなどがあ り 、協力体制を強化するインセン テ ィ ブと して機能する。また、公的金融機関からの 補助金や助成金を受けられれば、持続可能な建築工事の通常よ り も高い初期コス トを相殺するこ とが 可能である。例えば、米国・ニューヨーク州エネ ルギー研究開発局(NYSERDA)はプロジェ ク トの 発注者に対し、省エネ実績に応じた成功報酬型の 手数料制度を活用し、サステナビリテ ィ 重視の取り 組みを奨励している。一方、従来型の銀行は通常、 過去の実績に基づいて判断する。そのため、リ ス ク レベルの異なる資金を分けて用意しなければ、 サーキュ ラー・エコノ ミー関連の開発支援を受けら れない可能性がある43。3.4 技能と専門職 3.5 資金調達方法 建造環境におけるサーキュラリティ : 改修事業の新たな可能性を切り拓く 22
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