JP Circularity in the Built Environment 2025
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結論
改修事業市場には、建造環境が引き起こす環境負
荷の軽減という 、極めて重要な役割が期待されてい
る。現在の建造環境の 80% 以上が 2050 年になっ
ても存続する47と考えられていることを踏まえると、
ステークホルダーが今す ぐ行動を起こすこ とが絶対
的に重要である。初動が早いほど、長期的な成功を
収める可能性は高く なるだろ う。
既存の建物が最新のパフ ォーマンスと持続可能性
基準を満たしてアッ プグレードできる場合、ステー
クホルダーは新築工事よ り も改修を検討してもよい
だろ う 。特に、スペースに限りがあり 、建物に文化
的・歴史的な価値があ り 、解体や新築工事による
環境負荷がはかり しれず大きい都市部のよ うなエリ
アでは考慮すべきだ。また改修事業は新築工事よ
り もコス ト効率が良く 、時間も短縮できるこ とが多
い。そのため、新築に必要な多種多様なリ ソースを
使用せずに省エネ効果の改善を検討している不動産 オーナーには、実用的な選択である48。さらに、 環
境負荷の少ないビルを新築するよ り も改修の方が多
く の雇用を創出可能であるため、 国内総生産(GDP)
を成長させ、家計収入と消費を増大するこ とによ っ
て経済の安定確保に寄与する。これによ り 、他のセ
ク ターの需要を刺激するこ とも期待される。
ただし、改修事業は膨大な量の資材需要を生み出
すため、改修事業全体における持続可能性の効果
は限定的となる。この資材需要の課題は、サーキュ
ラ リテ ィ が解決するこ とができる。既存資材の保持、
再利用、 リサイ クル、 用途転換を促進するこ とで、 バー
ジン原料の新たな採掘を減ら し、廃材が生じるのを
極力抑え られる。 大気汚染、 水の使用量や汚染といっ
た環境要因に様々なサーキュ ラー・プロセスが与え
るインパク トを把握するには、今後さ らに詳しい分
析が必要になるだろ う。
改修事業が循環型バリ ューチ ェーンに移行する と 、
資産のダウンタイムの短縮、よ り強靭なサプライ
チ ェーン 、地域における雇用機会の創出をはじめ
とする、いく つもの新しい可能性が開かれる。サー
キュ ラー・アプローチは価値獲得の様々な道筋をも
たらす 。例えば、サービス型のビジネスモデルや、
バリ ューチ ェーンにおける水平統合や垂直統合など
だ。それでもなお、課題は残る。ステークホルダー
は今後、エコシステム全体を見据えた循環型改修
事業の取り組みを、どのよ うにして拡大していけば
よいのだろ うか。
サーキュラリテ ィを実現するには、不動産オーナー、
設計者、メーカー、リ ノベーシ ョ ン業者、物流・廃
棄物処理業者といったステークホルダー全体に体系
的な視点と協働が求められる。個々のプロジ ェ ク ト
ではなく 、都市全体を循環的に捉え るこ とができれば、サーキュ ラー・エコノ ミーの原則を都市計画・
開発に大々的に組み込むこ とが可能になる。
改修事業におけるバリ ューチ ェーン全体で重要な
テーマへの対応には、再利用や分解を前提と した設
計、 建物のライフサイ クル全体評価の実施、 空間マッ
ピングのようなテク ノロジーの活用などがある。これ
らのテーマへの取り組みが、サーキュ ラ リテ ィ の幅広
い普及には絶対的に必要だ。循環型改修事業の成
功は、循環型建築資材にア クセスできるかど うかに
かかっており 、そのためにはスムーズな物流ネッ ト
ワーク と信頼性の高い回収メカニズムを立ち上げる
必要がある。さ らに、専門的技能の開発、報酬やイ
ンセンテ ィ ブの提供、戦略的パー トナーシッ プや協働
の強化が、循環型回収事業を可能にする大切な要と
なる。これらは、前回の白書でも「協働と能力開発」
というテーマとして取り上げた49。循環型バ リ ュ ーチ ェ ーンへの移行
建造環境におけるサーキュラリティ : 改修事業の新たな可能性を切り拓く
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