JP Circularity in the Built Environment 2025
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エグゼクティブ ・ サマリー
本白書では、天然資源の保護と二酸化炭素排出量
削減の早急な実現に改修事業が果たす重要な役割
と 、改修事業におけるサーキュ ラ リテ ィ の付加的な
メ リ ッ トを具体的に示す 。こ こ では国際エネルギー
機関(IEA)のネッ トゼロ目標に基づき、2030 年、
そ して 2050 年までに着工する建築ス ト ッ クの改修事
業に必要な資材の量を定量化する。また、改修中
に除去された資材を再循環させる可能性を検証し、
ステークホルダーが循環型バリ ューチ ェーンに移行
する際に考慮すべき重要なテーマの概略を述べる。
調査によ り 、 改修事業市場が IEA のネッ トゼロ目標達
成を目指す場合、成長が前提となるこ とが明らかに
なった。市場は現在の 5,000 億米ドルから 2030 年
に は 約 2 兆 9,000 億 米ドル に、2050 年 に は 3 兆
9,000 億米 ドルに拡大していなければならない 。
2023 年から 2030 年にかけては、改修事業だけで
80 億 ト ンに近い資材が必要になる と見込まれる 。
さ らに、2023 年から 2050 年に必要な資材は、約
400 億 ト ンにまで膨れ上がる。ガラス、鉄鋼、コン
クリート、 アルミニウム、 レンガ、 プラスチックは、 窓、
被覆材、屋根材をはじめとする改修部材と して使用
されるため、これまでにない規模の需要が予測され
る。その他にも、改修に欠かせない資材には、断
熱材の交換やア ッ プグレー ド(機能向上)によ く 使
用されるファイバーグラス、 ミネラルウール、 発泡板、
スプレーフォームなどがある。
建築ス ト ッ ク(既存建築物)の改修によ ってネッ トゼ
ロ達成を目指すこ とが増え ても、未加工のバージン
原料の消費量が増え るこ とのないよ う、サーキュ ラ リ
テ ィはブレーキをかける役割を果たす。本白書のモ
デルでは、2023 年から 2050 年の間、改修中に建
物から除去される資材のう ち、平均 50% はバリ ュー
チ ェーンでの再循環の可能性がある。2030 年には
年間約 2 億 ト ン 、2050 年には約 5 億 ト ンの二酸化
炭素換算排出量 (CO 2e) が削減され、 それぞれ 5,000
億米 ドルと 6,000 億米 ドル相当の資材が埋め立て処
分をまぬがれるだろう5。改修事業へのサーキュ ラ リテ ィ 導入は地域によ って
濃淡が出るこ とが予測され、特に欧州では他の地
域に先駆けた展開が見込まれる。その一番の理由
は、欧州では、設計原則が十分に定着し、先進的
な回収プログラムが整備されているこ とである。長
期的なサステナビリテ ィ 目標を確実に達成するに
は、今この段階で、改修事業と新築建築物に関す
るサーキュ ラ リテ ィ 基盤を固めるこ とが不可欠だ。
本白書では、サーキュ ラ リテ ィ が不動産オーナー、
設計者、メーカー、ア ッ プグレー ド業者、リ ノベー
シ ョ ン業者、 物流業者、 廃棄物処理業者といった様々
なステークホルダーにもたらす新たな可能性に注目
する。こ う したセグメントの中でも、資材 ・ 部材メー
カーと、 アッ プグレード業者、 リ ノベーシ ョ ン業者は、
循環型バリ ューチ ェーンが生み出す新たな価値から
最も多く を享受できる有利な立場にある。こ う した
ステークホルダーは、長期的な製品の利用につな
がるサービス型のビジネスモデルとバリ ューチェー
ンの水平・垂直統合から新たな収益源を創出する
こ とが可能であ り 、循環型改修事業に特化した専門
職は、市場の牽引役と して業界での注目度を増すだ
ろう。
改修事業によ ってサーキュ ラ リテ ィ の規模拡大を図
る場合、 説得力のある事業計画と明確な投資収益率
(ROI)予測が求められる。採算性のある循環型改
修事業を実現するには、資材の削減、再利用、リ
サイ クルにかかるコス トを抑えながら、埋め立て処
分のコス トを高く 維持するこ とが必須となるだろ う 。
同時に、減税措置や脱炭素補助金などのインセン
テ ィ ブ (奨励策) も決定的な役割を果たすこ とになる。
改修事業へのサーキュ ラ リテ ィ 導入は、環境目標の
達成に貢献するだけではなく 、新たな経済機会を
生み出す。市場のリーダーたちは、成長する需要を
捉え て競争優位性を築く と同時に、建造環境全体の
イノベーシ ョ ンを加速させる原動力となるのだ。拡大を続ける改修事業市場において、 今後
持続可能な資材調達に様々な課題が生じる と予測され 、
サーキュ ラ リテ ィ の重要性は一段と高まるだろ う。
建造環境におけるサーキュラリティ : 改修事業の新たな可能性を切り拓く
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